第24回講演会「カント平和論vs.ヘーゲル戦争論―東アジア共通政府論に向けて―」

第24回講演会

■テーマ:「カント平和論vs.ヘーゲル戦争論―東アジア共通政府論に向けて―
■講師:高橋 一行 氏(明治大学政治経済学部教授・沖縄法政研究所特別研究員)
■日時:2010年1月29日(金) 午後1時〜2時30分

 
 
カント『平和論』は、1795年に発刊され、その200周年を記念して、また、さらにその後の2001年に、アメリカが戦争を始めてから、その意義について、様々な議論がある。私はまず、それらの議論の中から代表的なものを取り挙げて整理をし、その上で私自身の解釈を示す。ヨーロッパの論者の多くは、貨幣を統合し、大統領まで出したEUをモデルにして、世界政府を構想しようとする。しかしアジアの歴史と現状を知る私たちの多くは、ヨーロッパは極めて例外的な地域であり、アジアも、また世界も、EUのようには統合しないだろうと考える。一方で、アメリカの論者は、民主主義が広がれば、世界は平和になると考えている。しかしアジアや世界の各地に民主主義を広げようとして、アメリカは却って戦争を引き起こしているのではないか。
カントの真意は、民主化は個々の国家の内生的な発展によるものであり、そして国家の機能はそのまま残し、ある程度民主化した国家間で、緩やかなネットワークとしての国際連合を考え、平和に至る道を示したのではないか。そしてその程度の国家間の連合ならば、アジアでも、また世界でも可能であり、問題は、そこからどうやって平和に至る道筋を見出すかということなのではないだろうか。
ヘーゲルは『法哲学』の中で、カント平和論を批判し、戦争を肯定する。両者は正反対の主張をしているようで、しかし、戦争は必然的であり、国家は戦争を通じて発展し、その中で諸個人の教養と文化を育てるという主張は、両者に共通するものである。私の見るところでは、両者の主張はほぼ重なる。問題はそうやって育てられた諸個人が、ナショナルなレベルだけでなく、ローカル、トランスナショナルといった様々な諸集団をどのように作り、それを活用していくかということである。
以上の考察を踏まえて、私はアジア連合、また国際連合のイメージとして、私は次のようなものを考えている。まずアジア通貨を作る。それぞれの国家通貨(円、元、ウォンその他)は残し、それと併用して、バスケット貨幣を考える。これは電子上の架空のもので、ネットワーク貨幣と称しても良いものである。これを国家通貨と併用することで、国家通貨の暴落を防ぐ。すでにローカルな通貨はたくさんできている。これはそのままトランスナショナルな通貨に転用できる。ローカル、ナショナル、トランスナショナルと様々なレベルでのネットワークが出来ることが、アジア連合、国際連合のベースとなるだろう。

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